高揚力装置周り流れに対する乱流モデルの予測精度に関する研究
九州大学 大学院工学府 航空宇宙工学専攻
流体力学研究室
研究背景
乱流解析として様々な手法が確立されてきたが，DNSは莫大な計算負荷のため現在もなお実用レベルの乱流解析への適用は困難であり，LESは特に高レイノルズ数の壁乱流への適用に課題が残されている．このような事情から，現在でも実用レベルの高レイノルズ数乱流の計算には、計算負荷の小さいRANSモデルが多用されており，その高精度化の研究は精力的に進められている．また，LESの壁近傍での解像度不足による精度低下の改善策として，壁近傍でRANSに接続するLES/RANSハイブリッド手法が最近実用的な乱流解析手法として注目を集めており，この意味においてもRANSの高精度化は今後も必要不可欠な研究課題であると言える．
そこで本研究では，実用的な複雑乱流場の航空機高揚力装置周りの流れを対象として，現在までに提案されている各種RANSモデルを用いた計算を行い，得られた結果と実験結果[1]を比較し，予測精度の評価を行うとともに改善への指針につながる知見を得ることを目的としている．
計算手法および計算条件
ここでは図１に示すような高揚力装置まわり流れを対象としている．
図１ 高揚力装置まわり流れの概要
評価対象とした乱流モデルを表１にまとめて示す．
表１ 評価した乱流モデル
計算に用いた格子と境界条件を図２に示す．
図２ 計算格子および境界条件
代表的な計算結果
図３〜７に代表的な計算結果を示す．
図３ 揚力係数および抗力係数
図４ 翼表面の圧力係数分布の比較
図５ 流線図
図６ 圧力係数分布
図７ 乱流エネルギー分布
より詳しい議論の内容は参考文献[2]で報告されています．
参考文献
[1] Moir, I. R. M., “Measurements on a Two-Dimensional Aerofoil with
High-Lift Devices,” AGARD advisory Report No. 303: A
Selection of Experimental Test Cases for the Validation of CFD Codes, Vol. 1
and 2, 1994.
[2] T. Kubokura and K. Abe, 航空機高揚力装置周り流れに対する乱流モデルの予測精度に関する研究, 日本流体力学会年会2006, p. 328, 2006.
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