自律システムの研究紹介


惑星探査ローバーの研究開発

月・惑星探査のひとつの方法として、実際の天体上で サンプルの収集・分析を行うロボット(ローバー) を用いる方法があります。月や火星などの天体上では表面の形状や地下の洞窟中の状態など、環境がほ ぼ全く未知です。さらに地球から遠く離れた場所で作業するローバーには探査効率の観点からも、自律的な動作が求められます。 本研究室では、構造的な検討(移動方式)やセンシング・制御の観点から、未知環境でも自律的かつ効率的に探査を行えるような、高い信頼性をもつローバーシステムの開発を目指しています。 さらなる詳細はこちらのページ

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惑星探査ロボット

本研究室では自律システム構築に際して神経振動子を用いた制御を検討しています。生物を模したネットワークの活用により、エネルギー効率の高い自律移動を目指します。

Wide-Field Integration of Optic Flow に基づく障害物形状検知研究

Optic flow とは動画像中の物体の動きをベクトルで表現した情報です。そのベクトルには運動物体の速度及び外部の点への距離に関する変数がありますので、距離の情報が求められます。Wide-Field Integration(WFI)という手法はハエなどの昆虫の複眼を参考にして複数点から取得した情報を総合することで、ノイズの影響を減少し、状態ベクトルを精確的に推定します。 本研究では、 WFI of Optic Flow という手法で障害物上の全部の点への距離を求め、さらに障害物の形を推定することを目指しています。 距離及び形状を精確的に推定するために、主に以下の点について研究しています。

  • 形状未知の障害物に適用する方法
  • ノイズ影響を抑制すること
  • 特異点への距離の求める方法
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チルトローター最適レイアウトに関する研究

チルトローター航空機は、新しい構成原理を持つの一種の航空機であり、ヘリコプターと固定翼航空機との間の新しい概念の航空機です。一方では、チルトローターは滑走路とは無関係に離着陸することができ、他方では、高速長距離飛行用の固定翼航空機と同等であり、飛行範囲を広げることができます。チルトローターはヘリコプターと固定翼航空機の組み合わせであり、今日の世界における航空機技術の最先端、革新的かつ飛躍的な発展の結果です。 しかし、世界の国々はチルトローターのレイアウトについてバラバラであり、統一された計画を持っていません。たとえば、ローターの数、ローターのサイズ、およびローターの配置について一貫した結論はありません。 本研究では、異なる離陸重量のチルトローターにおける、粒子群最適化アルゴリズム、動的可操作度、翼素運動量、およびその他の関連理論を使用して、チルトローターの飛行に最適なレイアウトを見つけることです。そして、チルトローターのチェンジプロセスも各国の開発研究にとって難しい問題です。本研究は、ローターのチェンジプロセスの関連する研究にもなります。

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カメラ動画像による探査機の状態推定

Wide-Field Integration of optic flow(WFI)という手法により探査機の状態推定に関する研究です。 Optic flow とは、動画像中の物体の動きをベクトルで表現した情報で、本研究では探査機に取り付けられたカメラから動画像を得ます。 WFI は、ハエなどの昆虫の複眼を参考にして提案された手法で、広域の情報を統合することで探査機自身の状態を推定します。 本研究室では、従来の WFI では推定されていない姿勢角の推定を行います。


レーザーレンジファインダー(LRF)による探査ローバーの自律移動に関する研究

惑星探査活動を効率化させるための研究です。 LRF はレーザー光が対象物に当たって帰ってくるまでの時間から、その距離を推定します。 これを水平方向に回転させ、さらに垂直方向の角度を変更することで三次元の地形データが得られます。 従来の探査ローバでは、カメラによる環境認識がされていますが、計算負荷が大きくローバ上では処理できません。 そのため地上局との通信が必要になり、惑星の探査では効率が悪くなってしまいます。 LRF による方法は計算負荷が小さく、ローバ上での処理が可能になります。 カメラを用いると色やテクスチャーの情報から、滑りやスタックの可能性を推測できますが、LRF では移動距離推定によってそれらを検知する必要があるため、現在はその精度を検証中です

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想定するJAXA実験機 ©JAXA

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LRFより得られる地形データ


クアッドコプターの自律飛行に関する研究

本研究では、クアッドローター型ヘリコプター(クアッドコプター)の自律飛行に関する研究を行っています。 ローターは、× 字型フレームの 4 つの先端部分にそれぞれ取り付けられており、全て同じ方向に推力を発生します。 このタイプのヘリコプターは、4 つのプロペラの回転数を任意に変化させることで、垂直・水平方向に移動することができます。 本研究では、このクアッドコプターを自律飛行させるために、シミュレーションによる検証と実機を用いた実験を行っています。

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クアッドコプタ実験機

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姿勢制御数値シミュレーション


並進・回転カメラを用いた探査ローバーの自己位置同定

カメラ画像を用いた周囲の環境認識手法として、ステレオ法があります。 小型ローバーでは、大きさの制限から基線長を大きく取れず、推定精度が限られます。 そこで、並進・回転機構を持ったカメラを用いることで、ローバを移動させることなく周囲の環境認識の精度を向上を目指します。

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ステレオ画像による特徴点抽出の例


吸着脚を持つ壁歩行ロボット

垂直な壁や天井を自由に歩き回ることのできる小型歩行ロボットを研究・開発しています。 吸盤とポンプを足先に用いることで、負圧を発生し壁歩行を目指します。

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壁歩行ロボット実験機