石英基板から成長した長尺多層カーボンナノチューブが連続的に引き出される様子のSEM写真

自動車などでも注目されている炭素繊維強化複合材料の強化材である炭素繊維に代わる強化材の新素材として,カーボンナノチューブ(CNT)が注目されてきました。しかし,通常のCNTを樹脂に混練して複合化しても,高い含有率を実現できないうえに配向を制御できないことから,CNTのポテンシャルを十分に発揮できないのが現状です。

近年,長さ数mmの紡績可能なCNTが静大 電気電子・井上先生のもとで開発され,CNT紡績糸を用いることで高含有率かつ高配向のCNT強化複合材料が作成可能になりました。しかし,CNT強化複合材の機械的特性の改善を検討する上で重要な,CNT/樹脂界面の力学的特性(特に界面強度)が不明です。そこで,局所域の応力測定法として顕微ラマン分光法を利用して,樹脂中のCNTの応力分布を測定し,界面特性を評価することを試みています。また,樹脂中のCNT繊維束の多重破断プロセスから界面強度を予測しています。

(代表論文)

  • S. Yashiro et al. Composites Part A, Vol. 85, pp. 192-198 (2016)