GF/PP射出成形材のX線CT画像

白い線は全てガラス短繊維

短繊維強化プラスチックは,成形自由度が高い,成形サイクルが短く効率的である等の利点を有し,今後の用途拡大が期待されています。しかし,その剛性や強度といった力学的特性は,繊維の長さや分散状態,配向に依存します。また,これらの微視的構造は成形プロセスに支配されます。そのため,これまでにも成形材の繊維配向やその機械的特性を予測する研究が行われてきました。近年では,射出成形でも用いる繊維が長くなっており,そのような場合には成形時に繊維の凝集や破断が生じる場合があり,従来の解析手法ではこのような材料内部の微視的構造を予測できません。そこで本研究では,成形プロセスを再現する可視化実験とともに,Moving Particle Semi-implicit (MPS)法を用いた成形流動シミュレーションを提案し,成形における繊維・樹脂流動やボイド形成のメカニズムを評価しています。

また,CFRPの成形技術の一つに繊維基材へ樹脂を含浸する方法があり,航空機構造部材の製造技術として有望ですが,空孔の残留が技術課題です。空孔は強度や剛性の低下の原因となります。そこで,樹脂の流動と繊維基材への樹脂の含浸,空孔の形成を予測するシミュレータの開発に取り組んでいます。繊維基材への樹脂含浸プロセスの予測と実験を通じて,微小な空孔を含む微視構造の形成メカニズムの解明ならびに成形条件の最適化手法の提案を目指しています。

(代表論文)

  • S. Yashiro et al. Compos Part A, Vol. 121, pp. 238-288 (2019).
  • S. Yashiro et al. Compos Part A, Vol. 43(10), pp. 1754-1764 (2012)
  • S. Yashiro et al. Adv Compos Mater, Vol. 20(6), pp. 503-517 (2011)

 …… Most read article in Advanced Composite Materials (2012-)